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2007年12月 4日 (火)

日本語不思議図鑑

日本語不思議図鑑/定延利之(大修館書店,2006)
 著者は神戸大学の教授で、日本語を研究する言語学者。
 この本は、日本語のさまざまな「不思議」を、素人にもわかるようにQ&A方式でまとめたもの。この設問の目のつけ方が抜群にいい。
 例えば、

Q1:地下50メートルより深いところを、「地下50メートル以上」というのが正しいのか「~以下」というのが正しいのか?
Q2:「味わわせる」「味あわせる」どちらが正しいのか?
Q3:「あなたと夜と音楽と」(アルバムの題名)の最後の「と」は余計ではないのか?
Q4:「消防署長」という言い方があるが、「消防署署長」の方が正しいのではないか?
Q5:ボラはオボコ→イナ→ボラ→トドと名前を変えるが、これを「3回名前を変える」というのが正しいのか「4回名前を変える」というのが正しいのか?
Q6:二種類の薬を渡され、ひとつは「1時間おき」、ひとつは「1日おき」に飲むように指示されて両方飲んだ場合、それぞれ次はいつ飲めばいいのか。
Q7:CD10枚が入った「10枚パック」の横に「10 PACK」と書かれた商品がある。CDはいくつ入っているのか?

 といった具合。
 よくできていると思うのは、何となく感覚的にはこれが正しい、とわかる問題が多いことだ。だが、なぜそれが正しいのか、論理的に説明しろと言われたら困る。そんな感性と理屈との隙間をうまくついている。
 この本は、日本語について、「わからないことを説明する」のではなく、「わかるけれど説明できない」ことを、言語学的に説明しているのだ。説明されると、わかっていると思っていたことが実はわかっていなかったことに気づく。
 ちなみに、上のQ1からQ7の答え、順番に、「どちらでもいい」、「どちらも正しい」、「余計ではない」、「むしろ『消防署長』の方が正しい」、「3回でも4回でもよい」、「『1時間おき』は1時間後、『1日おき』は2日後」、「10枚」。
 こんな問題が20問。なんとなく納得はできるけど、その理由を自分では説明できない答えの数々を、言語学の視点で解きほぐしてくれる。ページ数は少ないが、中身は充実している。ただ、「図鑑」というわりに、図はあまり入ってない。

日本語不思議図鑑  


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