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2008年1月10日 (木)

ことばの由来

ことばの由来/堀井令以知(岩波新書,2005)
 言語学の大家で日本語研究の第一人者である著者が、日本語の語句を、その成り立ちに遡って解説する。
 一つのテーマに2~3ページずつ使っていて、見出しの数にして60。関連する言葉も取り上げているから、実際にはもっと多い。例えば「派手」の項では「キラボシ」、「キンキラキン」、「伊達」、「ケバケバシイ」などの類義語や、反対語の「地味」が出てくる。
 この本、最初は、日常使っている慣用句の由来を解説してくれる本かと思った。去年紹介した、『のぞき見トムとハットトリック』(6月10日)みたいに。
 そういう要素も確かにあることはある。「地団駄を踏む」とか「合点がいく」とか「横紙破り」とか。
 が、この本のメインとなっているのはむしろ、もっと根本的な言葉の成り立ちに関する説明の方。
 例えば最初に取り上げられているのは、「どっこいしょ」だが、そこでは、この言葉が「何処へ」という相撲もかけ声に由来するという説明がされている。これは言葉の「由来」ではなく「起源」の話だ。
 他にも「わらう」「めでたい」「こわい」など、基本的単語の由来の説明が多い。慣用句の成立というのは歴史・文化の領域だが、こういう言葉の起源そのもののレベルになると、言語学的領域である。
 要するに、基本的単語から慣用句まで、言語学・民俗・歴史・社会・文学など多方面にまたがって、いろいろなレベルの言葉の起源がごちゃまぜになっている。そのため、全体として統一感に欠けるように感じるし、期待していた内容とも少し違っていた。
 だけど、80歳近くなる日本語研究の大家が、その学識を総動員して書いたコラム集だと思えば、これはこれでいい。新書の限られたスペースに詰め込まれた情報量は膨大である。その量の多さゆえにごった煮的な、まとまりがない印象となっているが、そのことがまた、言葉の世界の広がりと奥深さ、複雑さと豊かさをリアルに伝えてくれるのだ。

 巻末に索引がついているのはありがたい。だけど本文中で取り上げられた言葉全てが収録されてないのは残念。
 例えば上に書いた「派手」の項だと、見出しはもちろん、「派手」と「ケバケバシイ」は載っているが、本文中に出てくる「キラボシ」、「キンキラキン」、「地味」は載ってない。もっとも、ちょっとでも出てきた言葉すべてを索引に収録していたら、索引だけで10ページを超えてしまうかもしれない。

ことばの由来 (岩波新書)

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