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2009年9月29日 (火)

難読語の由来

難読語の由来/中村幸弘(角川文庫ソフィア,1998)
 著者は国語学者で、古語や古典についての本を何冊か出している。
 この本は古語ではなく、現在使われている言葉を扱っているが、その歴史的由来を解説しているので、内容はやはり古語に関係がある。逆に言うと、古語の専門家でないと書けない本である。
 タイトルには「難読」とあるが、実際にはよく使われていて、読みが広く知られている言葉が多い。が、慣用的に使っているため、読めないような文字ではないのだが、どういうわけでそう読むのか、改めて問われるとわからない、そういう言葉を集めて、50音順に並べている。

 例えば「欠伸」はなぜ「あくび」と読み、「台詞」はなぜ「せりふ」と読むのか。他にも、「小豆(あずき)」、「時雨(しぐれ)」、「梅雨(つゆ)」、「山羊(やぎ)」など、考えてみると不思議な読み方の言葉が多いのに、改めて気づく。
 なんとなく想像がつく由来もあるが、なぜそんな読み方になったのか、まったく見当がつかない言葉の方がはるかに多い。そんな疑問を、著者は古くは『日本書紀』から、近代の国語辞書や研究書まで、古今の文献を引きながら解き明かす。
 本書を読むと、「難読語」の発生パターンとしては、だいたい以下の3種があることがわかる。
 本来は中国語の熟語で、それに対応する日本語の読みを当てたもの。いわば熟語の訓読み。「欠伸(あくび)」、「海月(くらげ)」など。
 日本語に後から漢字の造語を作って当てはめたもの。「梅雨(つゆ)」、「松明(たいまつ)」など。
 漢字の音読み、または中国語の読みが変化したもの。「双六(すごろく)」、「猛者(もさ)」など。
 中には、複合的な要因が組み合わさって、漢字からは想像もつかない読みになった「心太(ところてん)」みたいな例もある。

 雑学か教養か学問か、どう呼ぶにしても、身近な言葉についての意外な発見に満ちた本である。重版されてないのが惜しまれる。

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