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2018年12月21日 (金)

ことばと文字の遊園地

ことばと文字の遊園地/小野恭靖(新典社新書,2010)
 日本の伝統的な言葉遊び、文字遊びを紹介する本。
 できるだけ古い文献を紹介して、その起源から解説しているのが特徴。同じ新書に『ことば遊びへの招待』という本が出ていて、そこでカバーしきれなかったテーマを取り上げている。前著の方は読んでないのだが、「なぞ、判じ物、回文、倒言、アナグラム」などが紹介されていたらしい。

 内容は、言葉遊びの種類ごとに章分けしている。

I 「"早口ことば"で遊ぶ」:早口言葉の歴史と実例。そのルーツを「古事記」の中の歌にまで遡っている。江戸時代では今も知られる狂歌や歌舞伎の「外郎売り」や落語の「寿限無」など。
II「"尻取りことば"で遊ぶ」:江戸時代の尻取りは、末尾一音でなく、二音、三音の単語単位が多かったそうだ(一音の場合もある)。遡って藤原定家の「文字鋂歌」は、前の歌の末尾の音を、次の歌の五句目で受けるという高度なもの。また、古い尻取りの形はわらべ歌に伝承されているという。
III「"無理問答"で遊ぶ」:今ではあまり聞かないが、無理問答とは、「~を~と言ふは如何に、~でも~と言ふが如し」というパターンの言葉遊び。ルーツの一つはこれまた古く「梁塵秘抄」にあるという。江戸時代に上方で流行した。実例がいくつか紹介してあるが、正直言ってしょうもないものばかり。
IV「"譃字""鈍字"で遊ぶ」:江戸時代に流行した漢字遊びを紹介。「譃字」は創作漢字。「難字」は、漢字のこじつけ読み。「鈍字」は、漢字の一部を改変して無理やり読むもの。こういうのは今もある。
V 「"文字絵"で遊ぶ」:文字絵とは、文字を変形させたり組み合わせたりして絵を作るもの。江戸時代の作例多数を紹介。
VI「その他のことばや文字で遊ぶ」:その他の言葉・文字遊びをまとめて解説。例えば「無駄口」は、「その手は桑名の焼き蛤」みたいに、ダジャレに続けて無駄な言葉を付け加えるもの。他に「矛盾文」、「重言」、「撥ね言葉」、「脚韻」、「木綿襷」など。
VII「ミステリ文学と遊ぶ」。最後のこの章だけ異質。ミステリ作家のペンネームやタイトル、登場人物の名前、その他作中のあちこちに「ことば遊び」を見つけ出すというもの。なぜか大半が泡坂妻夫の作品。ページ埋めではなかろうか。

 日本人が昔から言葉や文字で遊んでいたという実例が。江戸時代のものを中心に豊富に紹介されている。実のところ、今見てそんなに面白いと思えるものは少ないが、それもまた味わいのひとつ。

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