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2019年8月10日 (土)

日本語びいき

日本語びいき/清水由美(中公文庫,2018)
 猫好きの日本語教師による軽いタッチの日本語エッセイ。単行本『日本人の日本語知らず』(2010)の改題・文庫化。
 内容の章立てはしておらず、21のエッセイからなる。外国人に日本語を教える中から出てきた、日本語への素朴な疑問や、日本人の多くが気づいてない意外な特性、あるいは日本人が思い違いしている真実などを、くだけた文体で語っている。
 1「日本語は難しい、か?」は、ひらがな礼賛。2「ところでひらがな、ぜんぶ読めてます? ほんとに?」は、日本人が気づいてない、ひらがなと実際の発音とのずれについて。――といった具合。他に「ら抜き言葉」の問題、日本語の形容詞の特性(著者は「イ形容詞」、「ナ形容詞」という独自の用語を使用)、品詞の揺らぎ、敬語、主語、助詞など。前半から中盤にかけては文法や用語法に関するテーマが多い。
 後半になると日本語の発音に関するエッセイが続き、これがなかなか面白い。15「ありますですかそれともありますですか?」に出てくる、著者が駆け出しの頃、学生から「ありますですか、ありますですか?」と質問されて、理解できなかったエピソードとか。その学生は「す」の発音について、「arimasu」なのか、「arimas」なのかと聞いていたのだった。
 日本人は、日本語の文字は「ん」を除いて必ず「子音+母音」、または「母音のみ」からなると思っているが、実際の発音では母音が脱落することがよくある。ただ、日本人は母音があってもなくても気にしない、というかそんなことに気がついていない。著者に質問した外国人学生はそこのところを聞き分けて、「どっちが正しいのか」と聞いたのだ。なお、この答えは「どちらでもいい」である。
 また、17「トンネルを抜けると鴨川でマスオさんが」では、辞書にも載ってない日本の「基礎知識」について語っていて、同じようなことがどの国の言葉にもあるのだろうなと思わせる。
 結局のところ、日本語の表面的なところをなぞっているだけで、深い考察などがそんなにあるわけではないのだが、著者の「日本語愛」は十分に感じることができる。 ヨシタケシンスケのとぼけたイラストも楽しい。

Nihongobiiki

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