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2019年9月23日 (月)

漢字の字形

漢字の字形 甲骨文字から篆書、楷書へ/落合淳思(中公新書,2019)
 著者は以前本ブログで紹介した『甲骨文字に歴史をよむ』(2009年4月19日のエントリー)を書いた人。いわば甲骨文字の専門家。
 内容は、主な漢字の字体の変遷を、ひとつの文字につき2ページで解説するというもの。それぞれの漢字について、著者の専門である甲骨文字から楷書まで、どういう変化をしていったかが一目でわかる「字形表」がついている。
 字形表は、殷(甲骨文字)、西周、東周、秦、隷書、楷書のそれぞれの段階の文字を、異体字も含めて一つの表にして、それぞれの間の関係を示したもの。この表こそが本書の最大の特徴である。

 内容は7章構成。
 序章「漢字の歴史」は、漢字の字形変化の簡単な歴史と、本書の字形表の説明。
 第1章「「馬」のたてがみ、「象」の鼻」は、動物の漢字。牛、羊、馬、象、犬、鳥、魚など。
 第2章「「本末」は、転倒している」は、植物や自然現象の漢字。木、本、竹、生、求、日、雨など。
 第3章「「人」は、一人で立っている」は、人や体に関わる漢字。人、交、立、子、目、手、心など。
 第4章「古代文明の「宮」殿、馬「車」」は、建物や器物の漢字。宮、高、戸、車、矢、弓、刀など。
 第5章「意外な親戚、「同源字」」。これ以降は対象物ではなく、字そのものの成り立ちによる分類。この章は、元は同一の字でありながら、別々の文字に分化した漢字。水と川、小と少、月と夕、女と母、来と麦など。
 第6章「他人のそら似、「同化字」」:は、章とは逆に、元は全然別の字なのに、全体または一部が似た形になった漢字。肉(にくづき)と月、玉と王、量と里、異と共、族と方など。あるいは阜、口、公など、起源の違う二種類の文字が合体して一つになった例など。
 第7章「古代人も迷った、「字源説の変化」」。文字の起源に関する解釈が時代とともに変わってしまい、それとともに自体も変化した漢字。丁、休、折、衆、男、黒、曲、易など。
 終章「タイムカプセルとしての漢字」は、全体のまとめと、本文で取り上げなかった文字をいくつか紹介している。

 上にも書いたが、本書のメインコンテンツは字体表と言っていい。文章の部分は表の説明みたいなものなのである。
 また、すべての字体について、本書のためにフォントを作っており、あとがきによると本文よりフォント作成の方に時間がかかったという。
 いろいろ含めて、大変な労作なのだった。

 

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