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2021年3月 7日 (日)

太陽が消えちゃう

太陽が消えちゃう 気絶悶絶三つ巴リレーSF/川又千秋、横田順彌、岡田英明(いんなあとりっぷ社,1977)
 珍品である。こんな本が出版されていたことを知っている人がどれだけいるだろうか。物好きなオールドSFファンくらいじゃないだろうか。
 若手作家(当時の)3人によるリレー小説。
 第1章だけはかんべむさしが書き、その後を川又、横田、岡田が交代で書き継いでいくという形。岡田英明は、鏡明が当時使っていたペンネームである(鏡明が本名)。
 かんべむさしの書いた第1章は、独特の言葉遊びは頻出するが、ただの零細広告プロダクションを舞台にした業界内幕ものとしか思えない。
 だが、第2章の川又千秋が広告業界のことを知らなかったため、「せめてテーマだけでも、広告の世界からはずして、メチャSFにしてしまえ」と(第1章以外は、各章執筆者による短い前書きがついている)、強引にSFにする。ということで、主人公が実はテレパスで、宇宙人と会見することになる――という展開に。
 第3章の横田順彌は、太陽が実は広告塔で、広告主の白鳥座61番星人がスポンサーを降りることになった――というとんでもない設定を持ち込む。これが「太陽が消えちゃう」というこの作品のメインテーマになるわけだ。
 第4章の岡田英明は、エキセントリックな自衛隊員を登場させるなど、とにかく登場人物を暴走させる。他の作者が造った人物も暴走する。だいたい、3人が交代で書いているのだから、登場人物だって章によって性格や能力が変わったりするのだ。
 この後、タコ型火星人が出てきたり、ケンタウロス型のアルファ・ケンタウリ星人が出てきたり、ミラー・ブライトなる狂人としか思えないアメリカ軍人が出てきたり、話は混乱の度を増す一方。
 最終回を書いたのは岡田英明だが、どういう形であれ、完結したことが不思議なくらい。
 まあ、3人のリレー小説などというものが、まともになるわけがないから、予想されたことではある。そんなわけで、小説として評価されるところは、ほとんどなきに等しい作品。
 昔はこんな遊びをやっていたという思い出話のネタにしかならない。しかしこんな企画が通り、こんな本が出るということは、よき時代だったのかもしれない。
 なお、これが川又千秋と鏡明の初小説出版だったはずである。しかし(本日の時点では)、Wikiの川又千秋の項目には、本書のことは一言も触れられてなくて、なかったことにされている(鏡明と横田順彌の項目には書いてある)。


Taiyougakiechau

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