ジャンクフードって何なんだ?
きらめくジャンクフード/野中柊(文芸春秋,2006)
私の偏見かもしれないが、ジャンクフードというと、どこか男の食うもの、というイメージがあった。男といっても、間違ってもマッチョやイケメンではない。太って脂ぎったオタク風のやつが、体に悪そうなものをむさぼり食ってる。そういうイメージだ。
この本は、小説家、野中柊が女性の視点からジャンクフードを語るもの。言ってみれば、女性の、女性による、女性のための食エッセイ。男が読むと、女性の考えるジャンクフードのイメージが、やはり、男の考えるそれとはちょっと違うらしいことがわかってくる。
取り上げられている食べ物は次のようなもの。なお、その食べ物が男にとっての(というか、私にとっての)ジャンクフードに該当するかどうかも、コメントする。
まずはハンバーガー。ジャンクフードの代表だな。ポテトチップス、チョコレートチップクッキー、ピーナッツバター、ポップコーン、アイスクリーム。このへんは、まあ間違いないだろう。みんな、いかにも太りそうな食べ物だ。
しかし、ベーグル、パンプキンパイ、クラムチャウダー、アップルパイ、バナナブレッド、サンドイッチ、とくると、疑問がわく。パイはともかく、他のは普通の食事では?
続いて、ピッツァ。これは間違いない。次のコーンズシ、って何だ? ハワイで稲荷寿司のことをこう呼ぶそうだ。でも、稲荷寿司はジャンクフードか?
と、こんな調子。本書には48種類の食べ物が出てくるので、いちいちは書かないが、いかにもジャンクっぽい、という食べ物は、これ以降に出てくるものとしては、ウィンナーソーセージ、クリームソーダ、綿菓子、シェイク、フライドチキン、餡ドーナツ、ゼリー、くらいか。 オムライス、コロッケ、餃子、たこやき、グラタン、カリフォルニアロール、焼きそば、おでん、などは、ジャンクフードというより、B級グルメという方がぴったり来る気がする。
どうもジャンクフードというと、どっちかといえば「品のない食べ物」というイメージがあるので、レモンメレンゲパイ、チーズケーキ、チェリータルト、クリスマスケーキ、シュークリーム、あたりになると、ちっともジャンクじゃないじゃないか、という気がする。著者にとっては、食べると太りそうな甘いものは、全部ジャンクフードなのか。
また、カレーライス、おにぎり、たまご焼き、などは、やはり普通の食事だろう。おせち料理に至っては、よく理解できない。
結局、自分が好きなものを並べただけじゃないか、という印象である。文章がまた、食べる喜びに満ちあふれていて、陶酔感すら漂っている。この食べる幸福感に満ちた文章も、ジャンクフードのイメージじゃないだろう。ジャンクフードというのは、もっとぎとぎとしていて、どこか罪悪感を抱きながらむさぼるものじゃないのか。
要は、ただの食べ物エッセイ、というのが本質。たまたま、冒頭にジャンクフードっぽいものが続いていたので、こういうタイトルにしただけではないかと。しかし、このタイトルのつけ方はうまい。上にも書いたように、明らかに女性読者を想定した本だが、男性が読むと、女性の食べ物に対する感性がよくわかる。
つい最近(2009年9月)、文庫版(文春文庫)も出た。











