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2018年4月20日 (金)

中国姓氏考

中国姓氏考 そのルーツをさぐる/王泉根;林雅子訳(第一書房,1995)
 元は『華夏姓名面面観』(1988)という中国で出た本の抄訳。
 内容は中国人の――というか、漢民族の姓名の歴史。中国の歴史が三皇五帝から始まったり、神話伝説の時代まで当然のように歴史の一部と見なしているあたりは、読んでいてひっかかるところもある。公式歴史観に忠実なのは、中国の歴史書の常ではあるが。しかし、社会や国家の歴史はこの本の主題ではないので、そのへんは流しておくのが正解だろう。本書のメインはあくまで姓名。
 内容は2部構成。

 第1部「中国の人びとと姓氏」は、神話時代に遡る姓氏の歴史、全21章。
 トーテムと姓の発生。姓と氏の違いと、それぞれの由来。姓と氏の統一。姓の変化と改姓の歴史。姓氏と血統――などのトピックがある。
 古代中国での「姓」と「氏」というのは、ちょうど日本の「姓」(源とか平とか藤原とか)と、「名字」(北条とか足利とか徳川とか)の関係みたいなものだったらしい。
 ただ、中国では前漢の頃には姓と氏の区別はなくなってしまったという。そして、異民族の流入などで新しい姓が生まれることはあっても、日本の名字みたいに、勝手に名乗ればそれで通用するという自由さはなかった。それが今でも中国に姓が少ない原因だろう。
 第2部「中国の命名の諸相」は、姓ではなく個人の名についてのトピックあれこれ。古人の命名法、命名用文字の時代性や地域性、命名のルールや習俗、女性の命名、望ましい命名方法など。最後の方には、名前によく使われる文字を列挙し、同姓同名を避けるためこれらの文字は使わない方がいいとアドバイスする。日本人には関係ない話とはいえ、いかにも余計なお世話という気がする。

 こんな風に、元は中国人が中国人向けに書いた本だけに、日本人から見ると変なバイアスがかかっていたり、何のための記述かよくわからなかったりする部分もあるが、日本ではなかなか知ることのできない情報がいろいろと詰まっている点は値打ちがある。

Chuugokuseishikou

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